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展開部、接続部について

1.展開部

全体で86小節ある展開部は極めて周到に計画されています。感覚的に響く曲の裏側に隠されている
仕掛けを覗き見してしまったようです。

(1)展開部の開始は第一主題のゆったりと提示により始まります。3連音符により修飾されており散文的です。この部分は99小節まで続きます。

(2)100小節から第1主題を反転させたメロディによる、律動的部分が115小節まで続きます。

(3)116小節からは一転して、第2主題と第1主題を組み合わせた展開が始まります

(4−1)129小節から第1主題の動機を使用した展開が始まります。

(4−2)149小節からは第1主題の動機を複雑に組み合わせてクライマックスに至ります。

小節 小節数 参考譜 主題との関連付け 調性
73-86 14

T1a Es
87-99 13

M4による h
100-107 12 T1aによる F
108-115 8 M3による Cis
116-128 13 M6+M3+M4 As
129-148 20 M5,M5反転 Es
149-158 10 M5 a

以上で、「フンそうか」と納得しても実はなんの訳にも立ちません。どう演奏するかが今の課題です。「こんな動機がこう使われているよ」ということがわかるような演奏をするのは「野暮」だと思います。

この展開部で言えることは、自然に演奏しても盛り上がる構造をしていることです。4つの部分に分けることができますが、緩急を含めて徐々に盛り上げてゆき最後に爆発するような組立てには素晴らしいものがあります。153小節から6小節持続するffsempreでは息が切れそうです。

それにしても、ffsempreまで盛り上がって、再現部の入りが単にsemprefというのは音を弱くしろという指示です。へんですねえ。

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